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speakeasy!

第四十六夜 Letzter Prozess

全英女子オープンは大荒れの展開の中、昨年に続きまたシンデレラが誕生したようです。

勝者に敬意を払って、タイトルはドイツ語にしてみました。

あり得ないほどの悪天候だった予選2日間を乗り切ったプレイヤーにはご褒美のような最終日でした。

経験値と明後日の方向に打っていける思い切りの良さ(自信?)が明暗を分けたかのように感じましたが如何でしょう?


さて、仕上げに掛かりましょう。

グリップ重量を測り、降順もしくは昇順に本数分を揃えます。




今回使用するエラストマー系のグリップは重量の個体差は左程大きくありませんが、ラバー系のグリップの場合はかなりの個体差があります。

通常の別注製作の場合は重量を揃えて準備しますが、個体差を逆手にとってリシャフトやイレギュラーな作業に於いてカウンター効果を利用して装着する場合もあります。


予定の長さ・バランスに仕上げる為に、予定しているグリップ下巻テープの重量+グリップ重量からバット側のカット量を計算して作業にかかります。

今回はグリップ割と細め、バランス軽め(D1.0~)のご依頼ですので下巻テープは螺旋二回巻で逆算していきます。(グリップ自体が割と細めです)




失敗、即アウト!ですから慎重に一歩手前からが基本です。



バリも丁寧に取りましょう。

シャフト内での音鳴り、グリップ交換作業時のケガを事前に防ぎます。




作業を終えて整列です。

予定の長さ、バランスが確保出来ていることを確認してグリップの装着に移ります。




ケースバイケースで数種の下巻テープを使い分けますが、微調整に対応するため基本的に厚さ0.13mmの薄手のテープを使用します。

下巻の範囲は基本的にグリップの自然長、エンドの余剰部分を排除した長さで巻いていきます。

細くしたい、硬くしたいなどのイレギュラーなケースの場合はこの限りではありません。




太さや硬さの統一感をなるべく損なわないために、長さ・巻き回数を揃えて作業を行います。

一般的なグリップ交換の場合、セット内のシャフトには数種のバット系のものが混在しています。

どれを握っても違和感がないように下巻の回数で厚みを調整しなくてはいけません。

テーパーの度合いが違う場合は特定の個所にアクセントを付けるなど、中々に奥深いものがあります。

一度ご自身のクラブを改めて握って確認されるのも良いでしょう。

結構バラバラになっているものです。


さて話を戻して、グリップの装着に掛かります。

有機溶剤を使用して作業を行いますが、グリップの素材によってこちらも数種の溶剤を使い分けます。

エラストマー系には発揮性の高いイソヘキサン(ペンタン)を使用します。

理由については・・・脱線してしまいそうですので、グー〇ル先生にでも聞いてみてください。

発揮性が高い=作業時間が短い訳で、手際のよい作業が要求されます。

まずはグイっと真っすぐに差し込みます。

このタイプのグリップはエンドまでしっかりと入っていないケースが多々見受けられます。

注意して行いましょう。




グリップ自然長を基準に装着してこの程度両面テープを余らせます。

次にエンド付近から指で圧をかけて、前後・左右から2回に分けて均等に両面テープがきっちりと隠れるまで伸ばしていきます。

必ず四方から圧を極力変えずに伸ばして行くことが重要です。

この作業によってグリップと下巻テープの密着度を高め、且つ全ての番手に於いて太さと硬さを極力均一に保つことが出来ます。

そしてフェイス面に対してスクエアであるように微調整を、しぼや切込みパターンの歪みを整え、バックラインがある場合はそちらも真っすぐにスクエアに整えていきます。

文章に起こすとのんびりしている感じですが、高発揮の溶剤使用の場合はここまでの作業はかなりスピーディに行います。




完成です。




グリップの世界は中々に奥深いもので、いずれは言及してみたいと思っています。

数年前にも宣言したような気がしますが・・


さあ、グリップ装着が美しく仕上がれば溶剤がある程度発揮するのを待って、残りのスペック(長さ・バランス・総重量・振動数)を測定しましょう。





シャフトバンド(シール)の貼り付けはオーナーの希望をお聞きして対応します。

貼らない、当店のラベル、シャフトメーカーのラベル、今回は三浦技研のオリジナルも選択肢に含まれます。





大きな問題がないことが確認できれば綺麗に拭きあげて、オーナーのご来場をお待ちします。

お疲れさま、ベッピンさんだと喜んでいただけるといいですね。









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