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speakeasy!

第四十七夜 信頼を得ることの難しさ

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。

店主にとっては日常である作業ですが、初見の方々にとっては割と多い作業項目に驚かれたのかもしれません。

今回の作業自体は至極、基本的な作業でありイレギュラーな作業は殆ど発生していません。

シャフトを抜く、という作業が含まれていませんがゴルフ工房を生業にしているのであれば必要な基礎技術と知識が割と全て含まれているのではないかと思います。

ヘッドとシャフトをくっ付けてグリップを刺せばハイ、出来上がり~ではご覧になっている方々(同業の方以外)がWeb上で調達できる知識と材料で行う作業と何ら変わりなく、信頼と対価をいただくことは難しいのではないかと考えますが如何でしょうか。


世の中には様々なスポーツがあり、ほぼ同じ数だけそこに必要とされる道具、器具が存在します。

そしてほぼ間違ってはいないと思うのですが、ゴルフクラブほど適当に出来ている道具も珍しいという事実があります。

命を乗せる、コンマ1秒の世界感はありませんから比較対象ではないにしても少し酷い状態です。

「プロじゃあるまいし・・」ではなく、基準となる規定値がある以上そこを大きく外れたものは最早、道具ではありません。

「弘法筆を選ばず」「上手くなってから」と思われるのであればそれはそれで結構だと思いますので敢えて言及はいたしません。


過去にも言及していますが、作業を終えてお渡しした時からが本当のお付き合いです。

ご依頼いただいた全ての方々が手直し無くパーフェクトな結果が得られることはあまりありません。

中には再調整が必要な方も当然おられます。

そして大きなトラブルもなく、調整が結果として表れて後に本当の信頼関係が成立するのだと確信しています。

極端な話し「曲げといて!」「曲げときましたよ!」の成立も信頼関係があればこそですし、本当に曲げたのかは依頼主には物理的には確認する術がありません。

だからこそ信頼関係の構築は店とユーザー間では必ず必要になります。

残念ながら期待した結果が得られず、信頼も得られなかった方々もおられるのですが、どうぞそこで見切りをつけることなくご相談ください。

少なくとも当店から見切りをつけることはありませんので。

例外はありますが・・


さて、アイアンセットを組み上げた後に必ず店主が行う儀式があります。

儀式といっても怪しいものではありません、綺麗に面を合わせて並べるだけです。




店主が勉強させていただいた工房でのお話、そこでの研修初日にそれとなく並べられていたアイアンセットが驚くほど綺麗に整っていたことに感銘を受けました。

思い出補正を差し引いても(失礼、)、その佇まいは今でも鮮明に覚えています。

アイアン1本だけですと何となく綺麗に組まれているものは多いのですが、並べてみると何だか不揃いで凛とした佇まいがないものが良くあります。

グリップの伸ばし具合、向き、シボやパターンが揃っている、ステップの位置、ソケットの仕上げ、シャフトの挿入角、ロフト・ライ角などが綺麗に揃っていると何とも美しい佇まいを醸し出します。

作業後にこうやってしみじみと眺めながら、あの時のアイアンセットのようにきちんと整っているのか?と自問自答しています。


長々とご拝読ありがとうございました。

今回のアイアンはインスタグラムにも上げていますので宜しければご覧ください。


ゴルフシーズン到来です。

コロナ禍で競技にプライベートに様々な影響が出ていますが、新しい生活様式でのゴルフの楽しみ方を各々見つけていただけることを願っています。

どうぞ皆様、くれぐれもご自愛ください。





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