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speakeasy!

第十五夜 オーダーメイド

別注、オーダー、カスタム、様々な呼び名がありますが、一体どのようなものなのでしょうか。 量産品とは大きく異なるのでしょうか?

上記表現はそれぞれ微妙に異なる内容なのですが、アイアン製作の表現として強引に同じ意味合いであるとさせてください。 例えばオーダーメイド。 こちらは和製英語で正確にはMade to order 等と表現されますが、服飾での注文・生産における使用がやはり一般的ですので、こちらを例にご説明を。 服飾におけるオーダーメイドには・・

<フルオーダー> 型紙(金型)を専用に起こして作製

<イージーオーダー> 既存の型紙(金型)をベースに補正(形状変更など)を加え作製

<パターンオーダー> 既に決められた(完成された?)ものをベースに採寸のみ行い作製

といった上記の3つに大別されているようです。 ではゴルフクラブにおけるオーダーメイドとは・・ ??一見すると最もチープなパターンオーダー式が一般的だと考えてしまいがちですが、それでも発注者に合わせてきちんと採寸を行い、その後打ち合わせそして作製に掛かる手順を意味しているのであれば、この最もチープな作製方式にも及ばないオーダーメイドクラブが蔓延しているように思えてならないのです。 そしてそれは少し見慣れないヘッド・シャフト・グリップで構成されているだけで、量産品と何ら変わらないとも思えてしまいます。

量産品や皆が使っているものとは違う物を! なるほど、目的がそれだけなのであれば充分なのでしょう。 加えて価格が安ければ言うことはありませんね。

オーダーメイドクラブ(地クラブ・パーツメーカーのクラブ)は量産品と比べて遥かに良いものだし、各アングルなどの精度も素晴らしいものである! 全くの都市伝説であり、仕上げなどの作り込み部分やアングル等の精度の部分に関しても一部量産品にも劣る雑な作り込みをしているメーカーも存在します。 ちなみに、アイアンセットをアッセンブルする際にアングル調整の必要が無いメーカーは皆無であると断言できます。 勿論、メーカーによる精度の差はしっかりと存在しています。 しかしながらバラつきがあれば曲げて揃えてやれば済む訳ですから、ここは大した問題ではありませんし、その部分だけを捉えて「駄目なメーカー」の烙印を押してしまうのはナンセンスな話です。 ただし、曲げて揃えてもFP値やソールアングルがあまりにも不揃いなのであれば、残念ながらお勧め出来ないパーツとなってしまいます。 これらの話はあくまで測定・調整が作業の中に組み込まれている事が大前提ですから、この作業が省かれて組まれたクラブ達はそのまま各メーカーの精度を包み隠さず露呈してしまっている訳です。

以前にとあるメーカーの方とこのようなお話をさせていただいたのを思い出しました。 「私の技術が百歩譲って宜しくなかったにしても、ここまで公表値から大きく外れて尚且つバラつきが大きいヘッドだということを一度真面目に考えられてはいかがですか?」 「・・・」 「それでもうちや曲げて揃えて提供出来るショップなら良いけど、大多数のそうではない形で提供されたユーザーの殆どがすぐに手放すことになるのだろうし、ニューモデルも長続きはしないだろうし、機能的には優れていてもセットとして使用していく上でユーザーからは支持されないと思うのですが・・ブランドイメージの失墜を招くとは考えませんか?」 「・・・・・・・・・・・・」

ゴルフクラブにおけるオーダーメイドの形を考えた場合、まずは前述の「フルオーダー」ですが、対応は可能ですが殆ど見受けられないでしょう。 膨大な費用・時間・労力、そして何よりその構造への知識も必要となってきます。

では「イージーオーダー」はどうでしょう? 若干の捉え方の違いこそありますが、当店では最も多くこの方式で御依頼いただいています。 「フルオーダー」と違い、既に用意されている金型・原型を使用するのですから、そこに費用は発生せず形状やデザイン変更・補正など凡そ考え得るオーダーはほぼ可能です。 多少の上乗せ加工料金が発生しますが、皆様が思われているほどの金額ではないようで、初めてオーダーされた方には良い意味での誤算であると思います。 ただしこの作業に対応可能なメーカーは多くなく、どうしても選択肢は狭められてしまうのでその部分がデメリットと言えなくはないでしょう。

「パターンオーダー」はいかがでしょう? 恐らくは最も多くオーダーメイドとして扱われている製法だと思われます。 原則、既存の各パーツに手を加えることなく指定された・お好みのものをチョイスして作製されます。 メリットは選択肢の広さ、納期の早さ、お値段は・・実は「イージーオーダー」方式とそんなに差が出ません。 デメリットとは言えないのですが、ユーザーの求めるスペック通りに作製する場合にその内容や選択したパーツによっては、何れかの箇所・何らかの方法を持って妥協せざるを得ないケースがあるということです。 詳しくは後述させていただきますが、それでもやはりイージーオーダーを選択できるパーツメーカに魅力を感じない、またはどうしてもあのメーカーのクラブを使いたい、機能面での必然、などの要望には当然ながら応えて然るべきですので、この場合はお客様との綿密な打ち合わせを経て創意工夫を凝らし「納得の妥協点」を探りながらの作業となります。

店主としましては、上記を御説明させていただいた後にいつもお客様の判断に委ねております。 最初からいわゆる「決め打ち」で選択して来られる方、何の予備知識も無いままに来られる方、「決め打ち」だったけど試打の結果、想像もしなかったメーカーを選択された方など様々な方々とのオーダーメイドについての打ち合わせは勿論、試打を重ねて順次パーツが決まっていく過程など、本当に皆さん何とも言えない楽しそうな良い顔をされておられます。 そして店主は勿論、お客様以上に楽しんでいる訳です。

次回からは実際のオーダーメイドの過程をお話したいと考えています。 まずはプレイヤーのスイングの礎、そして最も触れる機会が多いであろう相棒であるアイアン作製からになる予定です。

現在、2013年12月31日 17時16分です。 旧年中は沢山の方々にご来場いただきましたことをこの場を借りて御礼申し上げます。 本当に有り難うございました。 そして作業をお待たせしてしまった方々には大変申し訳なく、ご迷惑をお掛けしてしまいました。 来年もマイペースな当店であると予想されますが、懲りずに末長くお付き合いいただければ幸いです。 どうぞ皆様、素晴らしく良い新年をお迎え下さいませ。

※新年は1月7日より営業いたします。  お年賀も若干数ですが用意してお待ちしております。 

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