一夜明け、糊の硬化・はみ出し・ホーゼルとソケットの隙間に問題がないことを確認できれば仕上げの段階へ進みます。
まずはソケットを整えていきます。
然るべき個所にマスキングを施し、専用のリネンベルトでソケットとホーゼルを面一手前までざっくりと研磨します。
DIYの場合はカッターである程度の面取り後にペーパーで、もしくはヤスリで仕上げることになるでしょう。
ひと昔前は動力を使わない手作業が基本でしたから、便利な世の中になったものです。
店主もたまには手作業で仕上げることがあります。
手先が鈍らないように、腕が鈍らないように、そして所詮は機械ですからベルトグラインダ―が故障したときに備えていつでも作業に掛かれるように準備をしておかなければいけません。
時間に余裕がある時だけですが、通常作業の倍どころではない作業時間を要します。
様々な治具を考案していただいた方々には本当に頭が下がる思いです。
流通しているソケットの外径は様々で、仕上げがほぼ不要なサイズを用意すれば作業も簡単です。
メーカーでは作業効率から殆どがその仕様です。
逆に扱いづらい面もありますが(後ほど言及させていただきます)、工具や治具をお持ちでなければそれで良いのではないでしょうか。
そして内径も同様の観点から比較的大きめのものが多いので、使用中に緩んでしまい、緩みなのかシャフトが抜けかけているのかハラハラされた方も多いのでは?
我々は様々な外径のホーゼルに対応するために、余裕を持った外径のソケットを使用します。
大は小を兼ねるですね。
反対に内径は極力タイトに、過剰に打ち込む必要がない程度のものを別注で作っていただいています。
それぞれのショップではオリジナル、もしくは決まったものを使用されているところが多いと思います。
さて、その後はペーパーで粗研磨後の面を均して後に艶出しに掛かります。
艶出しには一般的にアセトンを使用しますが、当店ではとある理由でM.E.K(メチルエチルケトン)を使用します。
そしてほんのり研磨痕を残すのが師匠筋の流派です。
C-TAPERのヘアラインとのコントラストが中々美しいですね。
この時にバリが出た場合は綺麗に処理をしておきます。
当店に持ち込まれるクラブの中にはソケットのはみ出た部分をアセトンで処理しただけの状態のものが非常に多く見受けられます。
使用上の性能には問題がないとは言え、高額な別注クラブがこれではあまりにもお粗末だなと残念に思えてなりません。
仕上げの形状によっては構えた時のネックの見え方が変わってきますし、ここは美しく仕上げることにこだわっていきたいところです。
全ての番手への作業が終われば次の工程、測定と調整に移ります。
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