チップのトリミングを終え、ソケットを打ち込んでいきます。
真っすぐに、そしてトリミングによる仕上がり予定が極力変わらないように各番手で微妙に異なるホーゼル孔の深さに合わせて作業を行います。
浅く挿入する場合や主にウッド系への作業で硬さを調整する必要がある場合あるなどは底まで挿入することなく予定の寸法で作業を行う場合もあります。
バット側のトリミングに移ります。
仕上がり予定の長さに若干の余裕を持たせて0.5インチ刻みで正確にカットします。
画像に起こすと花火のようで綺麗なもんですね・・
作業中に綺麗だと思ったことは一度もありませんが。
シャフトカットに使用する機具もショップによっては様々でしょう。
鉄ノコ、パイプカッター、高価な専用カッターなど。
ともすると専用カッターは綺麗に正確な作業が可能なイメージですし実際に使用もしましたが、師匠店にて初めて画像の汎用グラインダでの作業を目の当たりにした時はまさに目から鱗でした。
小スペース、作業性に於いて非常に優れています。
パッと当ててパッと切れる、感じでしょうか。
その後、別の砥石とグラインダで切断面を均一にならし、正確に0.5インチ刻みの寸法が確保できていることを確認できればヘッドの重量調整に掛かります。
一応、予定のバランスを確保できることを確認します。
次工程に移る前の確認作業はやり過ぎても良い作業の一つです。
特に店主のような脇が甘いとお叱りを受けるタイプには必須です。
ここでの作業は仕上がり後のバランス(スイングウェイト)を予定通り(当店基準におけるフロー)に収まるように微調整を行います。
前述しましたが、ヘッド重量・シャフト重量・長さをマニュアル通りに用意してもそのまま杓子定規に仕上がることはありません。
工業製品であるが故の様々な要因によるずれは必ず生じます。
今回の作業は三浦技研での別注ヘッドを使用していますので予め重量指定が可能です。
ヘッドは単純な棒状や立方体でなく、まして手作業での仕上げが必須ですし、各パーツが要因となるずれも含めての調整代を確保するために予定している重量に1g程度の余裕を持たせて発注します。
調整は原則としてホーゼル底の重量を抜いて行います。
調整を終え、予定通りに整ったことを確認して接着作業に掛かります。
2液混合のエポキシレジンを使用します。
硬化開始温度や実用域に達するまでに要する硬化時間が長い等、色々と縛りはありますが逆にその部分を利用出来る所にメリットがあります。
ホーゼルに対して真っすぐに、もしくは意図的にアングルを調整するなど(主にウッドでの作業)場合によっては数回のやり直しを強いられるケースがあります。
勿論、必要以上に時間を掛けれる訳ではありませんが比較的余裕をもって作業に掛かれます。
腕が悪いと言われればその通りなのですが、最近主流になりつつあるアクリル系接着剤は硬化開始が早い為に基本的に一発勝負です。
多少の油分の混入もOK、攪拌が容易、常温で硬化タイプもあり、ふき取りが楽、など大量生産の現場やDIYでの作業の場合は非常にメリットが多く作業性にも優れています。
少し脱線しそうなので話を戻します。
シャフトを測定済の予定されている向きに合わせてヘッドへ接着していきます。
装着後にはこのように糊がはみ出すのですが、それなりに均等に満遍なく同等の量がはみ出ていることがホーゼル上端とソケットに隙間がない、ソケットが真っすぐに打ち込まれている、シャフトが真っすぐに接着された結果を表しています。
目視でも確認します。
問題がなければ余分な糊を綺麗にふき取ります。
拭き残りはアイアンの場合はまだしも、ウッドの塗装面に残ってしまった場合は厄介な作業を要しますので慎重にしつこく行います。
その後、硬化のために専用のボックス(自作なので不格好)に入れていきます。
サーモを利用して一定の温度(約30度)を保ち、ボックス内を発砲ウレタンでコーティングしています。
ここまでくればほっと一息、ゆっくりと一晩寝かして次の作業に備えます。
接着までの作業は基本的に余程納期に追われていない限り、他の作業と同時進行は行いません。
(今回は急ぎが1本ありまして・・)
店主がマルチタスクではないのも理由の一つですが、アイアンセットの場合は文字通りに数本で一括りであり、各々の流れや整合性を重視することに気を遣う作業になります。
中断したり、他の作業への意識が不器用で脇の甘い店主に致命的なミスを誘発されては困ります。
集中して、決して急がず焦らず、でも手際よく丁寧に。
おやすみなさい、また明日。
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