2024年が過ぎ去ろうとしています。
当店は昨日の12月30日をもって今年度の営業を終了させていただきました。
毎年の営業終了日に振り返りを兼ねて当ページを更新していたのですが今年はお疲れモードの為、翌日に持ち越しております。
例年であればあまり内容のない振り返りをつらつらと述べているのですが、今年は少し趣向を変えまして割と気にしている内容、ソケット(フェルール)についてお話しさせていただきます。
ソケット??と思われるかもしれませんがお付き合い頂ければ幸いです。
少し長くなってしまいますがご了承くださいませ。
当店は他店で組まれた・購入した、ネットでポチッと、メーカーの吊るしクラブなどが割と多く持ち込まれる工房だと思っています。
本当に様々な理由で作業を依頼されるのですが、かなりの割合でソケット(フェルール)の仕上げが美しくありません。
店主の師匠はいつも「ビューチフルでなければ~」と冗談めかしてですが我々に指導されておられまして、そんな環境で仕事を覚えたものですからどうしても真っ先にソケットの仕上げ具合などに目が行ってしまいがちです。
たかがソケット、所詮は機能に影響を及ぼすことは無いのですが(防錆、折れなどはこの限りではありませんが)この部分の処理と機能に影響を与え得る作業内容は少なからず繋がっているのだとある意味確信しています。
先日にシャフト折れ修理の為にご来場いただいた方のお話です。
修理のついでにアイアンセットの組み直し、フルチューンアップをご依頼いただきました。
人気のメーカーですが、折れた場所が気になりますね。
その他ハイブリッド、ウェッジとフルセットでご購入されたようです。
ざっと拝見したところ、何となく面を合わせただけの処理に加えて殆どのソケットが浮き気味で番手によっては長さや種類の異なるものも使用されている状態です。
嫌な予感しかしませんが、作業に掛かってみると・・
殆どのホーゼル内は錆だらけで酷い有様です。
シャフト先端のメッキ剥離も甘いし。
その他の番手もいずれは折れるか抜けてしまったかもしれません。
気絶しそうになりながらも何とか気を取り直し、作業に掛かっていきます。
ハイブリッドおよびウェッジは予算の関係上、アングル調整と長さ・バランス調整のみに留めます。
アイアンおよびウェッジシャフトはモーダス105-R、ハイブリッドはMCI70-Rで組まれています。
シャフトのチョイスはさておき、ハイブリッドはバランスありきでの組付けなので軽いヘッド重量に伴い相当長く組まれているため、軟らかいシャフトと相まって動き過ぎる傾向にありますからバットカットと鉛テープでの調整でアイアンとの整合性を試みます。
そもそも依頼主の体型から鑑みると長すぎるセッティングはご法度であり、アイアンは長さ在りきでの組付けなのに何故??とか、ウェッジは重量調整なしで相当軽いバランスに仕上げてあり、一部プロが好むような味付けを演出したのであれば、そんな子細工よりももっと気を遣わないといけない所があるだろうに・・とか色々とブツブツ言いながらの作業になりました。
作業完了です。
依頼主は暫くぶりにゴルフを再開されたか、本腰を入れてゴルフと向き合うことになったのかどちらかは忘れてしまいましたが(申し訳ございません・・)、一念発起して身内の方からのアドバイスもあり吊るしの間に合わせでなく信頼の於けるクラブをとの思いでこちらのセットをフィッティングを経て別注製作されたようです。
残念ながら当店での作業は余計な出費になってしまいましたが、どうぞ道具への不信感を排除して日々練習に励んでいただければと思います。
別の方のお話になりますが、フジクラでのシャフトフィッティング後に当店での作業を依頼された方で、フジクラスタッフの方からソケットの仕上げ具合に対して「愛がないですねー」と言われたとか。
恐らくご本人はピンと来られていないと思われますがそうです、圧倒的に愛が足りていません。
大手メーカーなどの工場に於ける流れ作業では致し方ないのでしょうが、期待を膨らませて決して安くはないオーダークラブを選択された方々に対して出来得る限り最高の状態でお渡ししたいものです。
ソケットを見れば一目瞭然、丁寧な作業が施されていないクラブは高確率で適当な作業工程を経て納品されていると思っています。
勿論、各店舗によっての基準がありますので当店が一番!というお話ではなく丁寧な仕事が施されているかどうかの判断基準の一つとして捉えて頂ければ良いのでしょう。
行きつけだったお店が転勤や引っ越しで離れてしまって・・など様々な理由で他店を訪れる方も多いでしょう。
その時に丁寧な仕事をされているなぁと言って頂きたいし言いたいわけです。
とは言え、当店の作業にも当然ながら不具合やミスが必ず発生しますのでどうぞ遠慮なくその時はお知らせください。
店主目線ですがソケットを見れば一目瞭然、というお話でした。
ソケットの仕上げが甘いのでその分お安くしときますよ!とはならないと思いますので、どうぞ参考になさってください。
話しは変わりまして、年末に非常に面白い商材が入荷しました。
一見するとクラシカルな普通のウェッジなのですが・・
ペラペラです、年末に思わず大笑いです。
でもよく見ると・・
しっかりとバウンス角は確保しているなど、試行錯誤の跡が見て取れます。
詳しくはこちらをご覧いただければよいでしょう。
上記では勿論ネガティブな意見は見られませんが、まずはこの発想と製品化されたことは賞賛されるべきでしょう。
変態クラブ愛好家である店主は即、デモクラブを追加させていただきました。
面白いですね。
宜しければどうぞ打ちに来ていただければと思います。
さて、年末恒例の今年最後の納品をご覧ください。
BALDO COMPETIZIONE 568 UT LH × TRPX HYBRID × ELITEGRIP TD50S
MIURAGIKEN H-100 × TOUR AD DI HYBRID × IOMIC iX TOUCH
RomaRo Ballista BR08 FW × TOUR AD-F × ELITEGRIP X360
ARTISAN × MODUS WEDGE 115 × PALMAX TOUR WAVE
EPON AF-156S × FUJIKURA SPEEDER NX BLACK × ELITEGRIP Y360XT
GTD BLACK ICE THE MAX × TRPX AB-403 × IOMIC STICKY LJ
EPON AF-707 × TRPX IRON ×IOMIC STICKY LJ
RomaRo Ray TYPE-R × TOUR AD PT-5 & SYNCAGRAPHITE ZINGER × ELITEGRIP X360
今年も沢山の方々にご来場いただきまして誠にありがとうございました。
来年も更にパワーアップして、メーカーさんの謳い文句のように毎年10ヤードの飛距離アップには敵いませんが良い仕事とクラブをご提供させて頂きたいものです。
どうぞ皆様も旨い酒を嗜み、美味しいものを食べて来年に向けて英気を養っていただければと願っております。
良い年をお迎えください。
また来年にお会いできることを心待ちにしております。
2023年12月31日
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