皆さんのバッグの中に黒羊がいるのであれば、それは割と大きな問題であり、ともすれば上達を妨げている要因かもしれません。
「BLACK SHEEP」= 厄介者、のけ者、変わり者、など色々な解釈で表現されますが基本的にはネガティブな意味合いで使われる事が殆どです。
※店主の自己紹介ではありません。
映画や歌などにもよく使われる事が多く、最近では某アイドルグル―プでも熱唱されていましたがこのネガティブな表現をポジティブに捉えるような使われ方も多いようです。
他人は他人、自分は自分、そのままで良いんだよ・・などでしょうか。
ポジティブに捉えるならば個性的とも言えますし、歴史を紐解いて見ても後世に名を残すような方々は黒羊タイプが多いのも事実だと思います。
しかし、残念ながらゴルフクラブに於いてはやはりよろしく無い影響を与えてしまう事になるでしょうし、極力排除もしくは更生させるべきであることは間違いないかと考えます。
黒羊は様々な形で皆さんのバッグの中に潜んでいます。
アイアンセットについては何故か違うシャフトが入っていたり番手別で装着されていない、グリップが違う、太さが違う、ロフトがライ角がなどなど。
全体を通して見れば1本ないしは数本があからさまに動き、硬さ重さが異なるなども良く見受けられる事例です。
最近の作業ではこのような事例も・・
懐かしいヘッドです。
2001年製造のモデルですが、比較すると最近のヘッドは随分と易しさを感じてしまいますね。
こちらのクラブ、PWだけが被って見えてしまい打ち辛いとのこと。
違和感のままに打つと左を嫌って右へ、開いて打つとこねてしまい左へ、と言った症状の御様子。
なるほど確かに初見では若干ですが被って見えます。
少し刃(リーディングエッジ)が下がっている感じですね。
でもほんの少しですが・・
※9番とPWとの比較
割とボール位置を右に置かれる場合、視覚的にはその部分が強調される傾向にはありますからその辺りを踏まえて作業をお受けさせていただきました。
ここで重要なのは、単純に刃を出す作業(FP値の調整)なのでは無くまずはロフトとライ角を基準値に合わせてから後に本題の作業に掛からないといけません。
ロフトが大きく動けばFP値も変化しますので、場合によってはロフト調整のみで解決してしまうこともままあります。
ライ角もしかり、FP値には直接関与しませんが、見え方がやはり変わってきますのでこちらも同時に調整してようやくスタートラインに立てます。
さて、まずは作業前の測定結果です。
9番 ライ角61.8度 ロフト41.8度 FP 4.3mm
PW ライ角63.0度 ロフト46.5度 FP 3.9mm
PWのFP値を4.5mm程度には調整したいですね。
標準ロフトの47度に曲げても4.0mm~4.1mm程度の変化ですから、この時点で改めてFP値調整の作業を必要とすることが決定します。
そしてライ角も統一感がありませんので、ソールの当たり具合と実際の出玉の結果から、9番 62.0度 PW 62.5度で整えていきます。
画像では伝わり辛いのですが随分とスッキリしました。
9番 ライ角62.0度 ロフト42.0度 FP 4.3mm
PW ライ角62.5度 ロフト47.0度 FP 4.5mm
勿論全ての番手を整えて後に無事納品となりました。
その後のご報告ではPWの不安が払拭されたのか、得意クラブに格上げとなったそうです。
こちらの方にとってはPWがどうやら黒羊だったようですね。
類似の作業がありましたのでもう一点お付き合いを・・
次回の更新も未定ですので固め撃ちさせていただきます。
当店とのお付き合いも長いお客様、ずっと三浦ユーザーでして現在はこちらのアイアンを#5-PWで御使用中です。
先日、UT代わりにこちらのアイアンを2本投入されました。
新製品のこのアイアン、ストロングロフトで深いキャビティ、そして小さめのFP値が特徴です。
この手のアイアン、無闇矢鱈と刃を出したがる方が多いと推測されますが、設計コンセプトを鑑みて少し慎重になるべきだと思うのです。
出玉に割と大きな影響を与えますから、出来れば試打をしっかりと行った後にどうぞご検討下さい。
当店にはFP値違いの試打クラブの用意がありますので、ご興味がおありでしたら是非ご相談ください。
1~2本であれば後調整もコスト面も含めて割と安易に出来ますが、全番手となると費用がかさむ上に綺麗に出来る保証もありませんから、オーダーの段階できっちりと煮詰めることが大事だと思います。
さて、話がそれましたが結果論として悪くは無いけどやはり視覚的にアイアンとのつながりをもう少し調整されたいとの事ですので、アイアンセットのFP値を考慮しながら、且つ右にボケては困るので、現状から1mm程度FP値を大きくする事になりました。
これらを2mmを目標に作業開始です。
きっちり1mm刃を出しましたが、中々よい流れでつながりにも全く違和感のない結果となりました。
因みにこの作業はある意味、スクラップ&ビルド的な作業になりますので少し限定的な部分が発生します。
軟鉄鍛造であること、素材によってはソフトステンレスも可能ですが原則お受けいたしません。
そしてメッキのしわ、割れ、当たり傷なども発生する事がありますのでどうぞご了承ください。
今回は話が少し偏りましたが例えばグリップ、割とバラバラなままで使われている方が結構多いですね。
素材による質感はまだしも、太さ等が極端に違う場合はまずよい結果になりません。
摩耗や劣化によりグリップ力が低下しているものも非常に悪影響を与えます。
セットとして機能している道具ですから、原則としてどの部分にも違和感あって良いはずもなく、違和感があればまだ良いのですが違和感を感じずに結果だけが芳しく無い状態はもっと達が悪いのかもしれません。
皆さんのバックの中に黒い羊はいませんか?
対処法は2つ、黒を白にするか全部を黒にしてしまうかです。
競技シーズンが始まりました。
同じカラーのクラブ達でスッキリと違和感なく、どうぞ存分にお楽しみください。
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